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「甘いわッ!」
アンドレは大剣でクロエの剣を薙ぎ払う。大剣の鉄に雷が反応して火花が散った。
「ッ…………!」
あまりの力に耐えきれず、クロエは剣を手放してしまう。剣は魔力を失い、離れた地面にカツーンと音を立てて落ちた。
そして、クロエの眼前に大剣が向けられる。
「そこまでっ!勝負あり!」
審判をしていた団員の声でアンドレは大剣をしまった。
「フローレス、今回も俺の勝ちだな」
「っ…………私の、負けです」
悔しさのあまり、唇を噛み締めるクロエに、アンドレは穏やかに微笑む。その笑顔からは、先程までの気迫が感じられなかった。
「魔法剣の構えが早くなったのは良かった。動きの速度も上がっている。あとはパワーだけだな。もっと筋肉つけろ」
「はは……。はい」
筋肉か…………。クロエは、ムキムキになった自分を想像して苦笑いを浮かべる。
「今日の鍛錬はここまで!解散っ!」
アンドレの掛け声で、団員がそれぞれ、宿舎に戻っていく。クロエもまた、剣を拾って宿舎に戻ろうと歩き始めた。
しかし、それを遮る男がいた。
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