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「クーロエ。今日もお前の負けだったな」 「リアム……」 「たく、お前は全くもってひ弱だ」  そう言って、彼……リアム・テイラーはニヤニヤと笑う。  美しいブラウンの髪に、色白な肌、そして、キリリとしたエメラルドグリーンの瞳……黙っていればイケメンなのに、何故こいつは黙らないのか。クロエはいつも疑問に思っていた。 「リアム……いつも私に突っかかってくるが、暇なのか?」 「なぁっ!?暇じゃねぇよ!クロエが傷ついてると思って、先輩である俺様直々に慰めにきてやったんだろ!?この厚意、ありがたく受け取れよ」 「え……いらない…………」  クロエの心底迷惑そうな顔を見て、リアムは顔を赤くする。 「なんだよその態度!失礼すぎやしないか!?」 「いや、同年代の君に失礼も何も…… 」 「親しき仲にも礼儀ありだろ!」 「え、私達ってそんなに親しかったか……?」 「………………なんだよ、もう」  余程ショックを受けたのか、涙目になるリアム。それを見て、クロエがため息混じりに 「私が悪かった。ありがとう、リアム」  と、礼を述べると、リアムはたちまち目を輝かせて得意げな顔になる。その様子は、まるで水を注がれた植物のようであった。 「ふん!やっぱりお前には俺様の存在が必要だな」 「ああ…………」  めんどくさい奴だな……クロエはそう思わずにはいられなかった。これ以上関わるのも面倒だ。そう思って、黙って宿舎に歩いていくクロエ。彼女の横を、リアムは当然のように歩く。
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