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何度かリアムに話しかけられはしたが、クロエは適当に相槌を打って受け流す。ああ、早く帰りたい…………。早く、レオに会いたい…………。そう思っていた矢先だった。
「えいっ!えいっ!!」
宿舎の玄関ホールで、レオが杖を振っていたのだ。
まるで剣を構えるように杖を持ち、素振りをしているレオ。魔法をかけている様子もないし、一体何をしているのか。いや、そんなことはどうでもいい。レオが可愛い。それが全てだ。クロエは微笑みながらレオに歩み寄る。
「レオ、何してるの?」
「あっ!クロエ!えっとね……」
クロエに尋ねられ、レオは少しモジモジしていたが……やがて、照れ笑いを浮かべて答えた。
「僕も強くなって、クロエを守りたいって思ったんだ。それで、いても立ってもいられなくて……」
「ッ…………」
レオが、私のために剣(杖)を振っていた!?か、可愛すぎる……。いや、嬉しすぎる…………。やっぱり、レオは天使だ。そうに決まってる。
クロエが額を押さえて黙り込んでいると、レオは不安げな顔になる。
「クロエ……?やっぱり、僕、変だったかな?」
「いや、変くない。レオ、変くない」
「変くない……?クロエ、大丈夫?」
「ッスゥゥゥ…………うん。大丈夫」
大きく息を吸って、普段通りの笑顔を作ると、クロエはレオの頬に触れた。
「ありがとう、レオ」
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