ニキくんのプレゼント

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 だけど、うれしくて涙を流すとか、いつか壊れると分かっていても、ずっとそばにいたいと願うとか。そんなおかしな生き物が、人間なのかもしれません。  そんなすてきな生き物が、人間なのです。    そのうち、ニキくんのお父さんとお母さんが帰ってきました。  お父さんとお母さんは「ただいま」、ニキくんは「おかえり」って言います。  お母さんがぴかぴか光るリビングを見て、驚きました。 「どうしたの? これ」 「プラネタリウム。学校で作ったの」 「へえ、すごい」 「リリにあげようと思ったんだ。今日は、リリの誕生日だからさ」 「誕生日? ああ、そうだったね。あ、そういやメンテナンスの知らせが届いてたな」 「え?」 「壊れているところがないか、リリのお医者さんに診てもらうんだよ。まだまだ働いてもらわないといけないからね、この子には」  お父さんはそう言って、私の頭をなでました。 「リリ。誕生日、おめでとう」 「ありがとうございます」  お父さんの手のひらのやわらかいぬくもりが、ふっと私を温めます。  一瞬、私もお父さんの子どもであるかのように思ってしまいました。  何なのでしょうか。この気持ち。  きっと、こういうことなのでしょう。  その時私は、  生まれてよかった。  多分、そう思ったのです。 おわり
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