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「一か月ほど前に喉が痛くて病院に行ったのだ。丁度医者がいないタイミングだったから、人間に変身して人間の病院に行ったのだが」
「ま、まさかそこで深刻な病だと宣告されたのですか?」
「違う。ただの夏風邪だった。ただ、そこがたまたま女医が勤務する内科でな……」
「はい」
「……彼女に言われたのだ。“おくすり出しておきますね”と。……そ、その時の笑顔と声が、さ、最高に可愛くてな……」
「……はい?」
「も、もえもえきゅんきゅんしてしまったのだ。あの微笑みが忘れられないのだ。……だからまた病気になりたい。また、おくすり出してほしい……あのセリフを言ってほしいのだ……」
「…………」
どうしよう。参謀は老医師と顔を見合わせ、そして頭を抱えたのだった。
ある意味、これは深刻な病である。しかも、不治の病に近いもの。
――恋っていうより、萌えの病ってこれ……どうすりゃ治るんだ……!?
とりあえず、その女医を魔王軍にスカウトできないか真剣に考え始めた参謀だった。
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