ダイイングメッセージ

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近くのガソリンスタンドで修理を頼もうと一度考えたものの、今いる場所からそのガソリンスタンドまでは片道でも歩いて20分はかかる。この豪雨の中、20分も外を歩くのは二人ともごめんであった。それに加え、周りには民家らしいものはなく、他の車通りもほとんどなかった。 「詰んだだろ、これ」 雨に濡れながら周りを見渡す幸守はそう呟いた。すぐに車内に戻った幸守は、左門寺に今の状況を説明した。すると彼も「詰んだね、これは」と言った。 「お前のわがままに付き合ったらいつもこれだ」 「僕のせいじゃないだろ」左門寺はスマートフォンをいじっていたが、ここら辺は電波が悪く、まったく電話が繋がらない。幸守のスマートフォンも同じであった。それを互いに確認し、また二人は絶望する。左門寺は「八方塞がりってやつだね」と幸守に言った。 「みたいだな」 ため息混じりに幸守は頭を抱える。「どうする?帰れないぞ?これ」と続けて聞く幸守に、左門寺は「どうするも何も、帰れないならここで野宿しかない。晩飯は食べておいて正解だったな」と言った。 「おいおいせっかくの休日がお前と車の中で野宿で終わるのか?やってらんねぇぞ」 「そんなこと言ったって仕方ないだろ。こんなことになるなんて思ってなかったんだから」 「しっかし、車通りがマジでないとこだな。もうずっと止まってるけど、未だに一台も来ないぞ」 雨のせいで見えづらくなっているサイドガラスから外を眺めながら幸守は言った。 「こんな雨だし、夜だからね。外に出ている人の方が少ないんじゃないかな」 まるで他人事のように左門寺は言った。
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