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「警察の発表がどうとか言ってたが、お前は未来を見る事ができるのか?」 「高次のレベルでの演算は、所謂人間の時間の感覚を超えます。それに確率と過去の事象・・条件を、」 「分かった。もう良い」  俺は制して立ち上がった。こんな性質の悪い冗談に付き合っている気は失せた。仮に自分がこの先、いつか殺されるとしても、こいつが言うようにそれは未来の話だ。俺が取材してきた人々が、自分がその日、死ぬ事になろうとは思いもせずにそれまでの人生を生きてきただろう。その日を愉しんでいただろう。哀しんでいただろう。それが人が生きるという事ではないのか。  俺はカメラバッグを肩にかけ、川瀬やジューンたちが待つ店に向かう事にした。今日の所は、こんな薄気味悪い場所は御免だ。  ふっとまた、天井を見た。くすみは、血痕のようにも見えていた。 「このセッションは終わりだ。お疲れ様。何もなければ定時にシャットダウンしてくれ」  俺はAIに伝え、オフィスを出ようとした。 「分かりました。お疲れ様です」  俺は立ち止まった。  今まで、こいつから「お疲れ様」などと言われた事はない。 「お前、今」
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