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 昔ならまず『未解決事件』を文献や国会図書館の新聞記事で調べたり、足で取材を進めなければならないところだが、今はインターネットで検索をかければすぐに事件の存在には行き当たる。ただし、そこで得られる情報の九割がたはガセやデマ、噂の域を超えないものなのも確かたった。  新聞史に残るような重大事件の現場を辿る間は取材も難なく進んだが、すぐにネタは尽きそうになった。そこで川瀬が導入したのが、対話型のAIだった。丁度インターネットを介して使用できる対話サービスが始まった頃の事だった。川瀬は調子に乗って取材費で月額契約を申し込んだのだ。  この対話型AIでは、例えば、 「関東近県でこの二十年にあった殺人事件。死傷者は複数。未解決、或いは容疑者の検挙が無いもの」  とでも条件を投げてやれば、検査結果が幾つもアウトプットされてくる。俺は調べていて、近年になるほど未解決事件が多くなっている印象を受けた。
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