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だが、AIが冗談を言う訳もなかった。そういう応答機能が無い訳ではなかったが、今はこちらが質問している事に答えるセッションの筈だった。
「お前、未来の事が分かるってのか?」
カーソルは点滅したまま、暫く何も応答をしなかった。
「未来とは概念です。時間の中で現在の後に来るものは未来と言えますが、実存するかという観点に置いては【あるかもしれない】という確率による将来の予測の一つに過ぎません」
あるかもしれない、起こるかもしれない出来事。機械らしい答えとは言えた。
「お前はその確率が高いって計算したのか」
カーソルは点滅を続けていた。答えようとしない。
その時、不意にスマートフォンが鳴動を始めた。俺はぎょっとして椅子から転がり落ちそうになりながら、電話に出た。
「ちょっとセンセ?来ないつもり?もう始めちゃうわよ」
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