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あれ?
ちょっと待て。
そういえば……。
……Web小説を投稿し始めた頃の、初めての推理小説。
短編ではあったが、その主人公の名前は……『麗』だ。
私は慌ててその作品に目を通す。
この頃はまだ短編しか書いていなかったという事もあるが、思いつくままに作品を書いていたので、プロットというものが残っていない。
あぁ、確かに中学生の『麗』が事件を解決へ導いている。
いや、この麗は『麗』とは別人だ。全く別の作品なのだ。
……主人公の名前が被ってしまったのだ。
―――どうする。
今、私は2つの選択肢を前に悩んでいる。
①名前が同じなのは偶然で、全くの別作品だと正直に話す。
②中学生の『麗』が大人になった作品だ、と軌道修正する。
①を選択してしまえば楽ではあるが、『麗』の成長を喜んで楽しみにしてくれている読者が1人でもいるとわかってしまった以上、悲しませたくない。裏切りたくない。
②を選択したとしても、運よく中学生の『麗』には名字を付けておらず、家庭環境なども明記していないので、今日までの公開分との食い違いはない。
ただ問題なのは、中学生の『麗』は好きな男を救うために必死になって推理をしていた事だ。
明日の公開分で麗は「だって私、恋なんてしたことが無いもの!」とカミングアウトする。これがまた今後の展開に重要なセリフで…。
②を選択すると、カマトトぶることになる。
いやいや、麗はそんなキャラじゃない。
―――どうする。どうする。
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