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#1 始まりのオレンジ
──高校二年生の始業式の日──
教室に入ってきた君は輝いていた。
少し日に焼けた焦げ茶の髪には寝癖がついていて、
髪をかき上げた瞬間、私はなぜかドキッとしてしまった。
知り合いであろう男子の集団に混じれば、たちまち歓声が上がる。
まるで太陽のようだった。
「めっちゃ人気らしいね、蒼空くん。」
急に聞こえた声に驚いて顔を向ける。
莉子だ。小学校からの幼馴染で、家も近い。
「イケメンで明るくて、性格もくっそいい。」
へえ。確かにかっこいい。
もう既に周りの男子と打ち解けているところからみて、去年もクラスの人気者だったのだろう。
話しているうちにチャイムが鳴った。
これから始業式があるので体育館に移動しなければならない。
正直だるい。校長先生の話は全然面白くないし、とにかく長い。
当然寝ちゃう人もいるわけだし、その文章丸ごとホームページにでも送ってきてくれればいいのにと何度思ったことか。
まあ送られてきても読まないけど。
やがて式が終わり教室に戻ってきた。
教室に戻ってしばらくすると先生が入ってきた。
新しい担任の西先生は若い男の先生で英語の担当らしい。
ただ、熱血的にはきはきと話す姿を見る限り、
入ってきた瞬間に感じた体育教師感は拭えない。
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