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その後、自己紹介や先生の雑談を終え、
私は莉子と家に帰ることにした。
莉子はテニス部に入っているけど、今日はオフらしい。
ちなみに私は帰宅部だ。
少しして帰ろうとしたら莉子の友達が何人か来た。
だから、私は会話が終わるまで待つことにした。
莉子は小学生の時から友達が多い。
でも、待つにしても何もすることがない。それで、なんとなく窓から外を眺めていたときだった。
「美桜ちゃん、だよね?」
聞き覚えのある声だった。
振り返ると蒼空くんがいた。慌てて私はうん、と返事をする。
どうしたのと聞くと、
「一人だったから。」と笑顔で返された。
一人の子をほっとけないタイプなのだろうか。ますます興味が湧く。
でも、「これからよろしくね」と彼は言うと、あっという間に去っていってしまった。変わってるな。ちょうど入れ違いで莉子が戻ってきた。
一緒にいたのを見たのだろうか。驚いた様子だった。
帰り道、私は莉子にさっきのことを話した。
「いいじゃん!蒼空くん狙っちゃいなよ。」莉子は勝手に舞い上がっている。
やがて帰り道が分かれるところに着いた。
“そういえば蒼空くんさ、彼女いないんだって。”
莉子が余計な一言を残して去っていく。
私は一人帰りながら、莉子の一言と蒼空くんの太陽のような笑顔が頭から離れずにいた。
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