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#3 ダークグリーンに染まるとき
──次の週の月曜日──
こんなに早く起きたのは久しぶりだ。
眠い目をこすりながら自転車を走らせる。
少しして学校に到着した。そのまま教室とは正反対にある図書室に向かう。
図書室のドアはもう既に開いていた。
でも誰かがいる様子はない。あれ、まだ蒼空くん来てないのかな。
とりあえず返却棚の本だけでも戻しておこう。
そう思い、棚に向かっていったときだった。「わあっ!」
「わっ!びっくりしたー!もーなんで隠れてるの。」蒼空くんがいた。
ずっと近くの棚の後ろに隠れていたらしい。
「ごめんごめん笑ちょっと驚かせたくなって。」
やっぱりこの人少し変わってる。
その後、返却された本の点検や整頓などの仕事を終わらせて二人で教室に向かった。
教室に入った瞬間視線を集め、教室内は少しざわつく。
そりゃそうだ。人気者の蒼空くんと物静かでまるで正反対の私が一緒に登校してきたのだから。
席に着くとすぐに莉子がやってきて詳しい事情を聞かれる。
それで私は、蒼空君と私が委員長と副委員長になったこと、週二日朝早くに登校して二人で本の整理をすることになったことなどを話した。
それを聞くと莉子は「えー。めっちゃうらやましいんだけどー。」とニコニコしている。莉子はいつも笑顔で私の話を聞いてくれるいい子だ。だけどその時だけいつもとは違いその表情の裏にどこか冷たいものを感じて違和感を覚えた。
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