#3 ダークグリーンに染まるとき

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──木曜日── また本の整頓をする日だ。 でも二回目にして分かったことがある。そう、朝の図書室には誰ひとりやって来ないということだ。 だから私たちはほとんど雑談ばかりして過ごしていた。 少し経ってから「そういえば美桜ちゃんって本読むの好きなの?」と突然聞かれた。私はうん、と返事をする。 「へえ、実は僕もこう見えて本好きなんだ。」 意外だった。サッカーとか体を動かすのが好きなタイプだと思っていたからだ。 「小説書いたりとかもしてるんだよね。」 そう言うと、蒼空くんは近くに置いてあった自分のリュックから一冊の大学ノートを取り出してきた。見せてもらうとそこにはたくさんの文字が書きつられていた。 読んでみたいな。素直にそう思った。 そんな私の思いを読み取ったのか「よかったら貸そうか?」と聞いてくれた。「え、いいの?」 「うん、まだ完結してないけど。それにホンモノの本好きの感想聞きたいし。」と言うとノートを渡してくれた。 今度の月曜日返してくれればいいから。 蒼空くんは少し照れくさそうにしていた。
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