君のためにおくすりを

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やっと、やっと完成した。これで彼女を正しい(僕の所)に導ける。 明日、早速彼女に飲ませよう。 僕は絶対忘れないようにおくすりをカバンのポケットに入れた。 次の日僕は、彼女を見つけるとすぐに声をかけた。 『春海(はるみ)、おはよう。』 彼女は、ツヤツヤのストレートヘアをなびかせて振り向いた。 『あ、昏時(これちか)くん。おはよう、今日も暑いね〜、あっ(がく)!』 話の途中で、彼女はあの男に気づいて行ってしまった。 怒りが込み上げて、持っていたペットボトルを握りつぶしてしまった。 大丈夫。大丈夫。もうすぐで、君は正しい道に、導かれるんだから。 昼休み、僕はまた彼女に話しかけに行った。 が、すぐに岳が彼女を迎えに来てしまった。憎しみのあまり、僕は自分の拳を握り締めた。気がつくと力が強すぎて爪が皮膚に食い込み血が滲んでいた。 痛いなんて感情はとっくの昔に忘れちゃったんだけどね。君に話しかけるのはまた放課後にしよう。 放課後君が彼氏と別れたのを見計らって、僕は君の家のチャイムを押した。君そっくりの年上の女性が出てくるとすぐに君を呼んでくれた。君は少し戸惑いながらも僕を部屋にあげ、親切なことにお茶まで出してくれた。僕はそんな君の様子を見ながらカバンのポケットに手をやった。そして、君がよそ見をするうちに君のカップにくすりを入れた。ミッションを完遂した僕は安堵のあまり、君の入れてくれたお茶のカップを手に取り一気に飲み干した。何故か、その様子を満足がに彼女は微笑みながら見ていた。と思った数秒後、僕の意識は途切れた。
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