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第10話 雑木林と畑の狭間で~その後
肥溜に落ちると、普通は助からないそうです。ただ、沈んだ時に一瞬浮き上がるそうで、それを逃すと浮いて来ないのだと、農家の人が言っていました。
転落現場を目撃した人がおらず、しかも転落者が自力で這い上がることができずそのまま沈んでしまったら…想像しただけで怖いですね。
ちなみに、智弘君が落ちた肥溜の所有者には、茂樹の母親(妙子おばさん)がその日のうちに伝えました。現代なら警察や救急車が出動して大騒ぎになるところですが、当時はのんびりしたもので、落ちた方が悪いみたいな風潮があったと思います。肥溜の所有者は、転落防止用の柵を作って幕引きを図ったようです。
智弘君が落ちた時、誰かに足首をつかまれて引きずり込まれそうになったとのちに述懐していますが、それは嘘ではなさそうです。
実際に転落死している案件もあり、何とも後味の悪い夏休みになったのでした。
下の画像は、庚申塔です。
人間の体内に棲む「蟲」が神様に人間の悪口を言いふらしに行くのを、避けるための塚です。智弘君のいたずら心が起こした迷惑な事件ではありますが、このお地蔵さまは、彼が死なないよう、神様に報告されないように守ってくれたのかもしれませんね。 作者(注) 心霊写真ではありません。
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