あー。そんな お話 なのですネ ~

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あー。そんな お話 なのですネ ~

その中で、日々の生活は流れ。この ワラビー型AIは恰好の話題となって、咲田製作所のこの商品は世界中が知ることとなった。ふーん。コレ、ええなー。 「こんにちは。笹本美月(ささもと みつき)様に、弊社「アンケートの咲田」からお届けモノです。」届いたのは1m超のダンボール。咲田製作所の生ワラビー/エム。 「この度は我社のDXキャンペーンに応募頂きありがとうございます。この商品を3ケ月使って頂き2日に一度、その感想を登録メールにて お送りください。合わせてお客様の情報とこの商品との会話と全てのデータも弊社のスタッフルームにて3ケ月間は管理させて頂き、決して無駄にすること無く今後の開発に使用させて頂きます。コレは無理やり押し売り。個人情報搾取等の怪しいキャンペーンではありません。では、同意書にサインをどうぞ。」配送のお兄さんは思いっきりの笑顔で笑った。  あははは。言われるママに、何だか変なデジタルサインを済ませて箱を開けると、更に箱と梱包材があって、其れを取り除くと「ピロピロppピヨオオン。チャチャチャ。」軽快な電子音とカラフルでゴージャスな紙吹雪に包まれて、ハッピバースディワラビー君のメッセージが2度流れた。 え。どうせ美月(みつき)は一人暮らしのアンケート好き。ココ数年 山程のアンケートに答えまくっている。今更何の秘密があるんだい。おまけにこれだけ次回の就職様に 履歴書を配りまくって何を今更、何を個人情報と言うのだろうか。へん。わずか3ケ月。みつき(3/つき)のこと。 ~ 確かに美月(みつき)は、モニターだけで実は結構な生活資源を賄っている。人事の田中には期待はできないし、していない。せめてもの贅沢さ。あはは。このサイトからの申し込みは実はそんなお客様ばかりらしい。ニュースの端っこを辿って手に入れた世界の最新商品。世の中求めれば何だってあるものさ。話は速かった。咲田製作所もアンケートの咲田も、住所は同じだ。別にコノ会社に就職は目指して居ないけどネ。ココからだとワラビー型AIとやらが無料だ。 部屋の中には、半分に破られた梱包材とお洒落であったに違いないケド美月(みつき)の顔の横をすり抜けて、一瞬で辺りに散らばったクラッカーの残骸がある。  このキャンペーンは 開封してスイッチを入れると、双方合意なんだってさ。少し迷うが、やたらリアルな赤茶色の偽哺乳類。しかも最新型AIだと言う。エムはMサイズのM、小さいケド故に更に何だか妙に可愛いい。そうだ。エムって名前も変えてやろう。お腹にポケットがあるってことは女の子かしら。でも大丈夫。名前は元上司となる予定の人事の田中拓也(たなかたくや)の拓也(たくや)に変更しちゃお。今から君は拓(たく)ちゃんだ。表示シールによると、全てのスイッチはお腹のポケットの中。成程。リモコン状の電源ボタンを押すと、リボン状の首輪が何度も瞬いた。Nn、コレ、簡単だワ。何だかゲームセンターのキャラクターみたいだな。お前。 「ピロピロppピヨオオン。チャチャチャ。」 最初の電子音が繰り返されて そいつ、拓(たく)ちゃんは目を開けた。 「グエ。ゲホ。ゲホ。ゲホ。がががGAぁ。」 コレが拓也(たくや)の鳴き声。泣け、拓(たく)ちゃん。きっと直ぐに 次の会社を見つけてやる。
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