拓ちゃんは、生 ワラビー。モ チ モ チ。。。。

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拓ちゃんは、生 ワラビー。モ チ モ チ。。。。

「はぁ。早速エムの名前を拓也(たくや)さんに替えられたのですネ。でも、お客様、くれぐれも3ケ月は破壊しない様に。困った時はメールでお問い合わせくださいネ。」返信メールが矢鱈速い。 ワラビー/拓(たく)には鍵爪の無い5本の指があって其れを器用に動かして箱から立ち上がると、教えもしないのに 美月(みつき)のWi-Fiのデータを確認して、ミルクボトル状のUSBケーブルらしきキッドを咥えた。最初の充電は壁のコンセントから9時間らしい。 パソコン、プリンター、クーラーとTVと、空気清浄機に、給湯器と洗濯機、数少ないAI付家電が一斉に「キュんんんnnn。」と反応した。聞いたことの無い 電気製品の 呼応に 美月(みつき)は何となく後悔をする。 エムは幾分ヒョロヒロしながら、身長分はある尻尾と大きな足で伸び伸び体操をしながら欠伸をし、2部屋ダケのウチを物色しながら台所に置いた元々は3人かけのソファーで足を組む。美月(みつき)は横に並んで座り、ギュギュギュとワラビー/拓也(たくや)にもたれかかる。キョロキョロした目も、しっとりした柔らかくて暖かい体もなんだか本当に愛らしい。ニャン子じゃない。偽物だけど、リアル生ワラビーだ。そうね。取り扱い説明書。一応読まなきゃ。美月(みつき)は 長い長い長い取り扱い説明書を今更ながら読む。 「可愛がってください。本日が貴女のエムのお誕生日です。出来るだけ長く声をかけて頂いて一緒に過ごし、できるだけ可愛がってあげてください。エムの特技はモノ造り。お客様の感性で進化致します。勿論、外出も大丈夫。但しエムはとてもデリケートです。ええ。くれぐれもご注意を。云々。。。」 ふーん。何のかの言いながら、アシスタントロボット進化の途中。そんな感じかしら。 ~でネ。3時間充電。6時間充電。9時間充電で、進化が違うんだって。拓(たく)ちゃんは電気屋さんかい。3ケ月間の電気代ってどのくらいかしら。どちらかと言うと、ソレが何だか気にかかる。  和室のシングルの布団に移動すると、拓(たく)ちゃんの毛皮は毛布みたいで暖かい。ちょっと待て、今は未だ夏だ。ディフォルトのワラビーの音声で拓也(たくや)は鳴き続ける。。 「グエ。ゲホ。ゲホ。ゲホ。がががGAぁ。」  そして、3ケ月目の1日目が終わった。 「グエ。ぐええ。がががGAぁ。」 「グエ。ゲホ。ゲホ。ゲホ。がががGAぁ。」 「グエ。ゲホ。がががGAぁ。」拓(たく)ちゃんは鳴き続ける。ああ。確かに今夜は熱帯夜。コノままだとお高い電気(でんき)行火(あんか)じゃ ネー(無い)の。明日はコノ近隣は37度の猛暑日らしい。Nnn。
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