06.

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06.

店に来る春ちゃんの表情が、少し柔らかくなった──気がする。 「……何かあった?」 「……どうして、そう思う?」 「だって、何か──」 春ちゃんが、可愛く見える気がする。 ──なんて、言えるはずもなく。 「ちゃんと表情があるのが、少し分かりやすくなったなー、って」 「そう、なのか……?」 「えっ、自覚無かったの?」 「社内では、相変わらず無表情だと、言われているんだが……」 「えー?嘘だぁー!」 「本当なんだが……」 そんな話しをしながら、春ちゃんは今日も俺の菓子を選んで、買って帰る。 「……佐藤さん、気づいてないんですか?」 「はあ?何に?」 「鉄仮面さんですよ!あの人、佐藤さんの前では何か、雰囲気が違う気がするんですよ!!」 「……──え?」 俺の前では? ……何で? 「そう言う佐藤さんも、鉄仮面さんの前だと、また雰囲気が違いますよねー」 何故だろう?と、翼と二人で首を傾げる俺だった。
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