02.

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02.

ああいう人は、きっと俺のお客様になってくれないだろうな──と、思っていたのに。 「い……いらっしゃいませ」 「………」 翌日。無事に店をオープンし、菓子の売れ行きも上々だった。 そして、そろそろ店を閉める時間──というところに例の、あの男が来たのである。 「あっ!鉄仮面の人!!」 「鉄仮面……?」 「こらっ、翼!ああっ、すみません!!うちのパティシエールが失礼を……」 翼は、少し正直すぎるところがある。 俺は慌てて、彼女の失言を詫びたのだが……。 「いや、いい……慣れている」 という返答。 慣れている……何に? 「それと、それ……あと、その菓子まで」 「っ──!は、はい!ありがとうございます!!」 すぐに選んでくれた菓子を箱に入れ、会計を済ませる。 まさか初日最後のお客様が、この男になるとは……思ってもいない展開だ。 「ん……?菓子が一つ、多いが?」 「うちのパティシエールが失礼をした、お詫びです。まだ試作品ですけど、よかったら」 「そうか……そういう事なら、頂こう」 では、また。 そう言って彼は、菓子の入った箱を片手に、店を出て行った。 ──また? また来てくれるって事なのか? 「やりましたね、佐藤さん!あの鉄仮面の人、実は佐藤さんのお菓子、気に入ってたって事ですよ!!」 「いや、まだ分からないよ……家族や恋人への、お土産で買って行ったのかもしれないし」 「でも、あの鉄仮面の人、また来てくれそうですよね!」 「うーん……あっ、あと翼。その呼び方は失礼だから、今後禁止な」 「えっ!?」
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