あ~ら。イメージしてください。ソレはね。

1/1
前へ
/4ページ
次へ

あ~ら。イメージしてください。ソレはね。

「「鬱」この漢字が~ お前に読めるか。お前に書けるか。」 「いつまでもいつまでもウダウダ同じ話をするな。試験に落ちたのも、ママが亡くなって悲しかったのも解った。 ~そんなにソノ試験が好きなら又受けろ。何度でもコッソリ受けろ。でも間違っても他の奴に落ちた話をするな。但し、他にも山程~試験はある。試験ってそんなモンじゃネーの?(無いの?)」 「でもさ。パパの作るお弁当のお米は、ちゃんと食べなよ。一緒に入れる林檎のウサギは許せるけど、パインの缶詰は駄目なんだ。でも其れはヒミツな。」 「何コレ。」 台所のテーブルで、おやつのサツマイモを齧りながら 優子は麗奈(れいな)の携帯メールに見入った。 外は8月。冷房の中で食べる焼き芋。コレって豪雪の中で監視員さんに見つめられて泳ぐ温水プールに匹敵する贅沢だと思わない? 又ぁ、変な例え話止めて。 ココはバイト先から10分の先輩のおウチ。麗奈は時々ココにやって来る。 「ああ。でもこのコロコロした焼き芋窯可愛いでしょ。コレはジョークで買って何年も放置していた我が家の一品。信楽焼の手作り窯。え。初めて見た?この間の引っ越しの時に見つけて、優子は~やたら重宝している。中に入っていた焼き石は駄目に成っちゃってたんだけど、底にアルミ箔を重ねて 別のアルミ箔で個別包装したお芋に水を足すと充分使える事に気が付いた。ネ。いいでしょ。コレ。」 冷たい麦茶を飲みながら、麗奈(れいな)は2本目のサツマ芋の皮を剥き始めた。 「あのネ。お芋は美味しい。後1本は大丈夫。そっちの大きいの予約ね。でもさ。今日はちょっと聞きたいの。
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加