おクスリの時間

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私は私なりに頑張ってきた。 この話を聞いた人は皆労いの言葉をくれるだろう。 だから今日くらいはゆっくりさせてくれ。 義父の血圧は高い。だが、一日くらいおクスリを忘れても大丈夫だろう。明日はちゃんと用意するから、だから今日くらいは許して欲しい。 体のダルさは一向に良くならない。相変わらず起き上がろうという気力すら起きてこなかった。 頭の奥の奥で不思議な声が聞こえる。何を言っているのかは判断がつかない。ついには幻聴が聞こえ始めたのか。その声に共鳴するように頭がうずく。頼むから静かにしてくれ。今日くらいはゆっくりしたいんだ。 しかしその声は静まることなくしだいにボリュームが大きくなっていき、言葉の内容がはっきりしてきた。 「ねーママ、またおばあちゃん変なこと言ってる」 「しょうがないのよ。おばあちゃんはもうボケちゃって、今と昔の判断がつかないから。まともに聞いてなくていいわ」 「そっかー、人ってこんなにボケちゃうもんなんだね」 「はい、じゃああなたは部屋から出てなさい。今からおばあちゃんのオムツ変えるから」 「はーい」 「さぁ、おばあちゃんオムツを変えますよ。これが終わったらおクスリのお時間です。今日は同じ形の同じ大きさのおクスリを八個用意しましたけど、いつものように一緒に数えましょうね」
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