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「……人間の、女の子?」
まるで不思議なものを見たかのように瞬いて呟いたのは、少年――の姿をしたモノだった。
月の光のような銀色の髪、見る者を魅了する輝きを放つ赤の瞳。体躯はミアとそれほど変わらない年頃の男の子のものだったけれど、人には持ち得ないその瞳が、何よりも雄弁に彼の正体を告げていた。
けれどミアはやっぱり拍子抜けしながら、彼ににっこりと笑いかけた。
「あなたが、この森に棲んでいるっていう『人喰い』さん?」
先ほどの呟きはこちらへの問いかけではなさそうだったから、ミアはとりあえず一番大事なところを訊ねる。
少年は臆する様子のないミアの態度に戸惑うかのように僅かに身を引いて、それから少しの逡巡の後に頷いた。
その肯定の動作に、ミアは叶うなら飛び上がって喜びたい気持ちになって――なぜならこんなにあっさりと『人喰い』に会えるとは思っていなかったので――けれど何事も第一印象が大事だと、昂ぶる感情を宥めて平静を装った。多少笑みが深くなったかもしれないが。
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