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「次の方、どうぞ~」
先生の声を受けて、次の患者は扉を開いた。
席に座って、自分の症状を告げる。
「先生、どうにも新しい展開が思いつかなくて……ネタが欲しいんです!」
「あぁ、それは大変だね。ならこの薬で大丈夫だ。安全性も確認された新薬だからね」
サラサラッとカルテに記載し、お大事に~、と患者を帰そうとするが、帰らない。
「先生、いくらなんでも薬を飲んで小説が書ける訳ないじゃないですか。僕は真剣に悩んでるんですよ?」
「大丈夫。今まで人類が一体どれほどあなたのような症状に苦しめられてきたか。しかし人類はバカではない。それに対処する方法が見つかったんですよ。大丈夫。この方法論に従っていれば、あなたはきっと名作を書けますよ。
ここだけの話、○○先生や××先生もこの薬を使っていてね……」
それを聞いた患者は、パッと明るい表情になり、喜んで帰っていった。
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