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「あらあら、ヘザーも一緒だったの?」
三人で部屋に戻るとデミが芝居がかった口調で言った。
「もう仲良くなったのね? 若い子達は打ち解けるのが早いこと」
「ポーレット殿、こちらが先程仰っていたヘザー嬢ですか?」
どうやら、席を外している間に事情を話しておいたらしい。
「そうです。まだ貴族社会に慣れていない所はありますが、天真爛漫で可愛い娘です」
目を細めながらダニエルが言う。
「本当に、天使のようにお美しいお嬢様ですわね。ジョナス、可愛い妹さんが出来て良かったわねえ」
ハワード夫人がにこやかに言ったが、本心はわからない。平民の子であるヘザーをすんなり受け入れる貴族は多くないはずだ。
「はい。彼女がいるとその場がパッと華やぐようです」
「あらまあジョナス様ったら。婚約者はレティシアなのですよ。あの子にも何か言ってやって下さいませ」
デミは憐れむような言い方でレティシアを笑う。
「もちろん、レティシア様は理知的で素晴らしい方です。私のような者にお相手が務まるかどうか」
「堅苦しい娘だからな。レティシア、お前がもっとジョナス殿をリラックスさせて差し上げないと」
「それはこれからゆっくりと仲を深めていけば大丈夫でしょう。学院でも顔を合わせますからな。レティシア嬢、うちのジョナスをよろしく頼みますぞ」
「はい、ハワード伯爵様。こちらこそ、よろしくお願いいたします」
レティシアがハワード夫妻と挨拶している間、ヘザーとジョナスは小声で何やら楽しそうに話をしている。
デミはその様子を満足げに眺めていた。
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