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義母と義妹
「はじめまして、レティシアお姉様。私はヘザーです。驚いちゃった、お姉様ってあまり貴族っぽくないんですね。貴族の人ってみんなお父様みたいに金髪なんだと思ってたわ」
自然なウェーブのついた金色の髪をこれ見よがしに揺らしながらヘザーは嫌な笑みを浮かべた。どうやら、『勝った』と思っているらしい。
確かに、明るいプラチナブロンドとブルーの瞳は平民には珍しい。色だけでなく顔の造形も父に似て美しいのは間違いない。
(それにしても、お母様が亡くなったのはたった半年前なのに……)
ポーレット伯爵家当主の父ダニエルは妻の死後一年間の喪に服することもなく後妻を迎え入れた。しかも、同じ年頃の娘も一緒に。
「お父様……この方は?」
「お前の妹だ。名前はヘザーという。歳は十五になったところだ」
(なんてこと! 私の一つ下なの? ではお父様は、私が生まれた頃には既にお母様を裏切っていたということなのだわ)
青ざめるレティシアを後妻のデミはいきなり呼び捨てにした。意地の悪い笑みを浮かべながら。
「レティシア、ヘザーと仲良くしてあげてね。この子は伯爵様の血を引くあなたの妹なの。これからはあなたと同じ暮らしをここでしていくことになるのよ。あなたと同等な身分なのだから」
レティシアの首の後ろ辺りがゾワゾワとしたのはデミの態度が不快だからか、もしくは怒りからか。
「今後は家の事はデミに任せる。お前もデミの言うことをよく聞き、ヘザーを可愛がるんだぞ」
「……はい、お父様」
父の言葉に異を唱えることなど出来はしない。心の中で嘆息しながらレティシアは頭を下げた。
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