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嗚咽
中の会話が聞こえない。何かあったんじゃ……。
出ていくべきか。
すると、女が言った。
「……それが原因?」
それは、さっきまでの威圧的な話し方ではなかった。
「え……?」
「だから、それが原因で別れたのかって聞いてるの」
女は怒ってるようだが、やはりさっきのような脅すような感じじゃなくて、小夏のことを心配しているような声だった。
「あ、あの……」
「小夏、正直に答えて。あんた、ほんとに彼氏と別れたいって考えてる?」
その言葉を女が発すると、少ししてから小夏のすすり泣くような声が聞こえてきた。
泣いてるのか、小夏。
何で……。お前、俺と別れたかったんじゃないのかよ。
俺は戸惑いつつ、しばらく小夏の泣き声をじっと聞いていた。
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