脅迫

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脅迫

 女の言葉が俺をこの場に踏みとどまらせた。  今何つった、この女? 「え、今何て……」 「だから、百万。もちろん払えるわよね?」  追い詰めるような口振りの女。小夏の声が上ずっている。  やっぱり、聞き間違いじゃない。百万払えるのかって、確かに女は言った。  何考えてんだ、こいつ。小夏にそんな大金払えるわけないだろう!  案の定、小夏は叫んだ。 「ひゃ、百万!? そんなの払えるわけないじゃない!」  でも女の方は悪びれる様子もなくさらに続ける。 「何で? 払えるでしょ、百万くらい」 「あ、安価って言ってたじゃない!」 「私の中では安価のつもりだけどねー。百万なんて」  おいおい、マジかよ。とんでもない奴に捕まったな。  助けてやりたいけど……、そもそも俺と別れるためのことだったんだし、俺がこの場にいたらおかしいよな……。 「ほら、早く払いなって」 「む、無理……」 「は? あんたさ、私に手間かけさせてるわけ? わかってる?」  圧をかけるような女の声色。 「う、それはわかってるけど……」 「だったら早く払いなって。払えないんだったら、はじめっから頼むなって話だったしさ」 「で、でも、無理だよ、わ、私借金あるし……。これ以上お金なんて……」  借金? 小夏借金なんかしてたのか?  バンッ!  テーブルを叩く音がした。
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