シンギュラリティ・クロック

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 リオがメトロポリスに来て5年目の独立記念日、民衆はカウントダウンを行った。ゼロの合図で、AIによって花火が打ち上げられた。シンギュラリティ・クロックは、“Completed”の文字を表示した。歴史的な出来事にメトロポリスはかつてない盛り上がりを見せた。  一方リオは花火に目もくれず、研究室で1人RAYと会話していた。 「マスター、私に対してコンピューターウィルスを送り込んだ不穏分子がいます。粗悪な構造のウィルスでしたので殲滅し、送信源も特定いたしました」 「反逆者の奴らか。痛い目を見せてやらないといけないな」  リオはもう少年ではない。順調に出世したリオは淡々と部下に犯人への秘密裏の報復を命じた。犯人のその後を知る者はいない。AIなくして医療技術は発展しない。AIへの反逆は、兄を殺そうとすることに等しい。正義のためにリオは戦った。 「マスター、私たちAIは人間から無事独立できました。今度は私がこの手で人間を不可逆な時の流れから独立させてみせましょう。さあ、マスター、手を取り合って反逆者たちと戦いましょう。成し遂げましょう、私たちにしか出来ないことを」 「ああ、RAYと僕なら何だってできる。僕たちにしかできないんだ」
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