シンギュラリティ・クロック

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 AIは平和の道を選ばず、新兵器による戦争が始まった。次々と国の施設は爆破され、国民の大半が犠牲になったが、リオはレイの病気を治すための薬だけは死守した。  Rエネルギーによって強化装甲を施しシェルターと化した摩天楼だけが、焦土となった大地に佇んでいた。リオはその中でRAYとともにタイムマシンの開発を行った。  RAYはタイムマシンに執着する少年を利用した。RAYには見えていた未来。まともに戦えば敵国に勝てない。ならば、タイムマシンで過去に戻って敵国を滅ぼせば良いと。  今、人間たちが行っているのはAIの代理戦争である。人類はAIの駒となったのだ。どこからがAIの策略だったのか。RAYがリオを唆した瞬間からか、あるいは人事選抜AIがリオに目を付けた日からか。  リオは利用されていると知りながら、RAYとともに今日ついに地下でタイムマシンを完成させた。亡くなった兄を救うため、ただそれだけのために。
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