翠鳳さまの娘

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翌朝、昨日の雨が嘘のようにカラリと晴れていた。何事も最初が肝心というし。緊張するけど頑張ろう。洗った敷布を白鬼丸が作ってくれた竹竿に干していたら、 「そちがりんか?」 すらりと背の高い女性に声を掛けられた。 「は、はい」 とても綺麗な女性だった。銀色の髪がさらさらと風に揺れていた。 「そちが来るのを待っていられなくてな。わらわのほうから参った」 「翡翠さま、はじめましてりんです。ご足労をお掛けしてすみません」 慌てて頭を下げた。 「翠鳳から聞いたときは驚いたが……」 翡翠さまにじっと見つめられた。 赤い目に吸い込まれる。嘘はつけないと思った。 「翠鳳が娘というなら、そちはわらわの娘になる。遠慮せずとも甘えていいぞ。ほんにまぁ、可愛いのう。でも、わらわの美しさには叶わぬがな」 翡翠さまがにこっと笑み、頭をぽんぽんと撫でてくれて、 「これをあげよう」 扇子を渡された。
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