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「助手よ、どんな夢でも叶える薬を開発したぞ」
「天才的頭脳の持ち主の先生、本当ですか?!」
「そう、天才的頭脳のワシだからこそできたのだ。助手よ、お前の夢はなんだ?」
「宝くじで一等を当てることです」
「ならばこれを飲め、これでお前は宝くじで一等当てた世界にいけるぞ」
「先生、それやべー幻覚剤じゃないですか」
「えー、おくすりとかけまして、笑い上戸と解く」
「急な舵切りしたな、で、そのこころは?」
「箸が軽がってる、お、クスリ」
「やまきくん、座布団持ってって!」
「えー、お後がよろしいようで」
「そんなわけ、あるかい!」
「「どうも、ありがとうございました」」
まばらな拍手の中、スーツ姿の男たちは舞台袖へと進む。
楽屋へ戻ったら反省会と、そしていつもの胃薬を飲むのだ。さっきから胃がキリキリと痛む。
どんな夢でも叶える薬、なんて自分がほしい。願望がネタに出たな。男はクスリと笑うこともなく、脱力するようにため息を吐いた。
完
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