酒乱の動揺

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 何故、気になるのか。  この問いを三人に発したなら、まったく別の答えが返ってくるだろう。  ナーレンダはロリコンだ。本人は断固として否定しているが間違いない。年端もいかない幼女に婚約を迫るなど、ロリコンでなければいったいなんなのか。  カイラシュは、サヴィトリが次期タイクーンだからという以外にも、何か溺愛する理由があるらしい。聞いたところで決して口にしないだろう。  ジェイは一番読めない。何が虚で何が実か。あるいは虚も実もないのかもしれない。当たり障りのないところで、幼馴染でずっと気になっていたから、とでも言うか。  ヴィクラムは手持無沙汰をごまかすために、たき火に薪を投げ入れた。  火の粉が舞い、大きくはぜる。  誰もその音を気に留めた様子はない。  ヴィクラムは改めてサヴィトリを見つめた。  ちょうど彼女は、つらそうな顔をして視線を上へとむけたところだった。  些細な表情の変化が、いちいちヴィクラムの心を波立たせる。  せめて酒がもう一本あれば、気持ちの整理がはかどっただろうにとない物ねだりをしてしまう。今回はペースが速く、薬酒以外はほとんど飲み干してしまっていた。
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