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そこにAIはあるのか
肌寒さすら感じる程に冷房の効いたオフィスの一角には、スーツを着こなし眼鏡をかけた初老の男と、少し黄ばんだ襟の伸びたシャツを着た若い男が、机を挟み向かい合って座っていた。
初老の男が若い男から手渡された原稿用紙に目を通している間、若い男は固唾を呑んで初老の手元にある己の血と汗の結晶を凝視していた。初老の男は最後の一枚まで目を通すと、眼鏡を外して目頭の辺りを指で押しながら口を開いた。
「君が持ってきたこの漫画、君は百点満点中何点だと思っているんだい?」
「て、点数ですか?」
若い男は答えに迷い、自信無さそうに言った。
「はちじゅ、いや、九十点です」
初老の男は視線が泳いでいる若い男の目を見た。
「私が、わざわざ予定を調整してこの場を設けたというのに、君がウチに持ってきた漫画は九十点なのかい?」
若い男の全身から嫌な汗が吹き出した。何を怖気付いているのだ。百点満点のモノを持ってきたと思っているし、そう思わせなくてはいけないのだ。
「いえ、ひゃ、百点です」
初老の男は手元の原稿用紙をもう一度見た。
「この漫画が百点、ねぇ」
初老の男は目頭を押すのを止めて眼鏡をかけ直した。
「君ねぇ、この漫画は甘く見積もっても四十点ぐらいだよ」
初老の男は原稿用紙を若い男に突き返した。
「そ、そんな。待ってください。もう一度読んでみてください。面白いはずなんです、売れるはずなんです、よろしくお願いします」
若い男は椅子から立ち上がると、初老の男の足元で土下座をした。
「やめたまえ。みっともない」
若い男は周囲の目を気にすることもなく、何度も懇願しながら土下座を続けた。初老の男は溜め息をついた。
「分かった。話をするから一度席に戻れ」
若い男は慌てて椅子に座り直した。
「君の漫画の良い所をあげるとするならば、そうだなぁ」
初老の男は、先程突き返した原稿用紙を寄越せと催促した。若い男は慌てて原稿用紙の束のズレを直してから、初老の男に手渡した。
「画力は、悪くない。もう少し迫力のある絵が描けると良いが、老若男女の描き分けは出来ているし、背景も違和感を感じるような歪みはない」
「ありがとうございます」
「それと、君の漫画を愛する気持ちというのがひしひしと伝わってくる。この漫画からは、君という人間が伝わってくる」
「はぁ、ありがとうございます」
「だが」
初老の男の目付きが鋭くなった。
「君の漫画は、単刀直入に言って無味無臭だ」
「む、無味無臭?」
「主人公が成長するわけでも努力するわけでも挫折するわけでもなく、ただ目の前に現れた課題をクリアするだけの漫画。これはね、画力だとか演出だとかそういう次元の話ではない。物語が面白くない。これに尽きる。確かに、この漫画には君の想いが沢山詰め込まれている。だがそれは、数え切れない程の漫画を編集者としての立場で読んできた私のような人間だから感じ取れるのであって、この漫画を読むであろう大多数の人間にとっては、魅力を感じない物語が続くだけの無味無臭の空っぽの漫画だ。君が今後も趣味で漫画を描き続けるというのであれば大いに結構だが、この漫画に我々がお金と場所と権利を用意し、読者の方々にお金を出して読んで貰おうとは全く思えない」
若い男は言葉を失った。その後も、初老の男に色々と言われたような気がするが、放心状態の若い男の耳には何も届かなかった。
それから一週間が経過した。
アルバイトにはどうにか行っていたが、それ以外の時間は、一度も洗っていない酸っぱい臭いのする布団の中でインターネットを眺めるだけの日々を過ごしていた。
今まで何度ボツと言われても、一晩寝れば「次こそ目に物見せてやる」と息巻いていたものだったが、初老の男の言葉に若い男の心は打ち砕かれていた。それは、初老の男の言葉が許せなかったわけではない。初老の男の言葉に何一つ反論出来ない自分のやるせなさから来るものだった。
このような精神状態で次の作品のことなど考えられるわけでもなく、だからといって漫画家になることを諦めてちゃんとした仕事を探そうという気にもならず、ダラダラとインターネットを見ているだけの日々を送っていた。その中で、若い男は気になるアプリを見つけた。
それは人工知能利用アプリだった。若い男は無料であることを三回確認してから会員登録をし、アプリをダウンロードした。
アプリを起動すると、女性キャラが会釈をするアニメーションの後に文章が表示された。
『ダウンロードと会員登録ありがとうございます。何か分からないことがあったら入力してみてください。私が答えます』
「分からないこと、ね」
若い男は、思ったままのことを入力してみた。
『大ヒットする漫画の描き方を教えてください』
入力してからしばらくすると画面に解答が表示された。
『沢山の作品に触れたり、漫画に関係のない経験を沢山することで、自分の中の物語や言葉に深みが生まれ、それが大ヒットする漫画になるかもしれません』
くだらない。こんな当たり障りない答えしか出せないのならば、わざわざ会員登録までした意味が無いじゃないか、と本気で思った。
だから、若い男は嫌がらせの気持ちを込めて次の文を入力した。
『世に出たら必ず大ヒットする物語を出せ』
画面に一瞬だけエラーコードのようなアルファベットと漢字と記号が混じったノイズのような文字の羅列がビッシリと表示された。ウイルスでも入っていて何か問題が起きたのかと心配し始めたタイミングで、画面が元に戻り解答が表示された。男は内容を読む前から驚いた。解答の文章量が桁違いだったのだ。
男は膨大な文量の解答を読み始めた。そこには、舞台設定、登場人物紹介、あらすじ、話の展開といった情報がビッシリと書かれていた。
「小さい画面じゃ読みにくい」
若い男は解答を全てコピーし、印刷機に指令を出した。印刷機には八百ページと嘘のような数字が書かれていた。印刷の途中にインク切れと用紙切れを起こしたために、近くのコンビニまで二度走ることになったが、早く全て読みたいという衝動に駆られた若い男にとってそんなことはどうでも良かった。若い男は印刷が終わった用紙から次々と読み始めた。
気がつくと、夕日ではなく朝日が部屋に差し込んでいた。昼過ぎから翌日の朝までぶっ通しで解答を読み漁っていたようだった。若い男が立ち上がると、変な姿勢で一晩過ごしたために全身が悲鳴をあげた。だが、その悲鳴すら心地良く感じる程に、若い男の心は満たされていた。
「世に出たら必ず大ヒットする物語を出せ」という問いへの解答は、完璧と言わざるを得なかった。何一つ余分な要素はなく、しかし想像の余地があり、主人公達の波乱万丈の物語は、一度目にしたら目を離すことなど到底出来なかった。
若い男はアルバイト先へ「親の急病により急遽実家に帰ることになりました」と嘘の連絡をし、それからはただひたすらに原稿用紙にペンを走らせた。
アイデアが降ってきたのではない。自分が読んだばかりのこの最高傑作をそのまま漫画にしようとしたのだ。
AIの出力した物語を漫画にすることに抵抗が無かったわけではない。しかし、若い男はこの物語を汚い六畳の部屋で永遠に眠らせることなど出来なかった。
自分の考えた漫画が連載を勝ち取れないのであれば、連載を勝ち取りつつ、さらにはこの最高の物語を世に広めることが出来る方法として、AIの解答を参考に漫画を描くのはむしろ正しいのではないかと、若い男は自分を洗脳するかのように何度も言い聞かせた。
自分を心の底から納得させることに成功した頃には、呼吸も、休憩も、瞬きも、その全てを忘れて漫画の制作に没頭した。
それから一ヶ月が経った。
「君か、まぁ座り給え」
相変わらず寒さすら感じる程に冷えたオフィスの中で、若い男は初老の男と再び対面していた。
「早速だが、原稿を見せてもらおうか」
若い男は分厚い封筒から紙の束を取り出して初老の男に手渡した。
「随分描いてきたね。これは設定資料かい?」
「はい、漫画は五話まで描きました。今後の流れを文章で纏めました」
「ふぅむ、少し時間がかかりそうだが良いかい?」
「はい、もちろんです」
初老の男は黙ってページを捲り続けた。
出された珈琲の氷はとっくに溶けて、グラスは結露で濡れていた。全てに目を通し終わった初老の男は、眼鏡を外して目頭を押さえた。
「これは、君が描いたんだよね?」
その言葉に若い男は心臓が止まるかと思った。しかし、白状しない限りバレるわけがないのだ。
何故なら、この物語を他人が新たに出力することは不可能になったからだ。人工知能利用アプリをダウンロードしてから数日が経ったある日、突然サービス終了の通知が一方的に送信され、それきり二度と使えなくなってしまったのだ。
他の人工知能に同様の質問をしても、当たり障りない解答か、その問いには答えられないと言われるだけで、この最高傑作と同じ物語がAIによって出力されることは二度となくなったのだ。
若い男は深呼吸してから口を開いた。
「もちろんです。他人の原稿を持って来る馬鹿はいません」
「そういうことを言いたいわけじゃないんだが、まぁ、そうか」
初老の男は手を上げて、近くにいた若い女性に全てコピーしてこいと命令した。若い女性は駆け足でコピー機へと向かった。
「一体何があったんだ?」
初老の男は眼鏡をかけ直してから言った。
「何があった、と言いますと?」
「ハッキリ言おう。あの漫画の面白さは次元が違う。あの漫画にボツと言い渡す編集者がいたとしたら、そいつは今すぐ仕事を辞めた方が良い。アレはまぎれもなく完璧な物語だ」
若い男は心の中でガッツポーズを取った。
「だが、私の独断であの漫画をボツにするかどうか決められるとしたら、私ならボツにする」
「な、え? ど、どうしてですか?」
さっきと言ってることが矛盾していたために若い男は動揺した。だが、若い男の動揺に初老の男は気がついていないようだった。
「それは、あの漫画から君の臭いがしないからだ。私は、君があの物語を生み出したとはどうしても思えないんだ」
若い男は恐怖した。目の前にいるこの男は、本当に漫画を見る目があるのだと。仮に白状しなくても、何かをキッカケに気が付くのではないかという恐怖が若い男を襲った。
若い男の顔には明らかに恐怖と不安が浮かび上がっていた。
若い男が何とかこの場をやり過ごそうと考えていると、若い女性がコピーした原稿用紙を持ってきた。初老の男は手で追い払うようにしながら言った。
「私に持ってくるんじゃない。編集長のところに持っていけ。私に命じられたと言えば良い。さぁ、早くしろ」
若い女性は頭を下げてから、急いでその場を後にした。
「十中八九、君の漫画は連載開始するだろう」
「ほ、ホントですか?」
若い男は動揺を隠すために珈琲を口にした。
「この漫画を他所に取られるわけにはいかないからな。丁度一ヶ月後に一枠空く予定だからそこに捩じ込むことになるだろう」
「あ、ありがとうございます」
若い男は深々と頭を下げた。しかし、目の前にいる初老の男の表情は暗かった。
「なぁ、本当に君が描いたのか?」
「あ、当たり前じゃないですか。盗作だって言うんですか?」
若い男は、一瞬返事が遅れたが、不自然な間が出来ないように慌てて反論した。
「誰にも言わないから教えて欲しい。本当に、君が描いたのか?」
「だから、そう言ってるじゃないですか」
「そうか。私には信じられないが、君がそこまで言うのならそうなのだろうな」
初老の男は深い溜息をついた。初老の男は何度も言葉を区切りながらポツリポツリと話し始めた。
「今だから言うが、私は君の漫画が好きだった。何度もボツにしたが、それは仕事だからボツと言ったのであって、私は君の持って来る漫画が好きだった」
若い男は耳を疑った。何度も何度も自分の作品をボロくそ言った人間の口から出た言葉とは思えなかった。
「君は何度も原稿を持ってきたね。そのどれもが大衆に絶賛されるような作品では無かったが、君の漫画には、君だけの想いが、君だけの魂が詰まっていた。君は、画力も、込められた想いも、どちらも悪くなかった。だから、後は物語が、君にしか描けない君だけの物語が、どうにかして形になってくれればと切に願った。厳しいことも言った。傷つけるような事も言った。ただそれは、私の想いを君の作品に混ぜたくなかったから、私の独断と我儘で君に助言しなかったんだ。君が、君だけの力で傑作を描き上げて欲しいという私の我儘だ。だが、君が今日持ってきた漫画からは」
初老の男は珈琲を手に取ると一気に飲み干した。
「君が今日持ってきた漫画からは、君の想いも、魂も消えていた。あの漫画からは、君の臭いを感じなかった。君の、漫画への愛情を感じなかった。ここにあるのは誰もが面白いと感じる最高の漫画ではあるが、君の魂が込められた漫画ではない。私はそう思った。君に分かるかい? 私の好きな漫画家は、今この瞬間に死んだんだ」
「えっと」
若い男が言葉を返す前に、初老の男は席から立ち上がり、奥から二人の元へと向かって来た人物に手を上げて合図をした。
「今後のことは彼と相談することになる。おめでとう、この世界に新しい漫画家の誕生だ」
初老の男は祝福するかのように手を叩きながらそう言ったが、その顔は大人が友人の葬式で見せる顔だった。
それから一年が経った。
連載が始まってからの一年はあっという間だった。連載開始直後にSNSで話題を集め、気が付いたらアニメ化や映画化が決定し、海外でもブームが起きていた。
だが、若い男は、いや、大人気漫画家は頭を悩ませていた。続きが思いつかないのではない。手元には最終話まで纏まった資料がある。
大人気漫画家の頭を悩ませていたのは、世間が求めているのはAIによって出力された物語であって、自分自身で作った物語ではないという現実についてだ。
この現実を初めて実感したのは、連載開始から半年が経った頃に、雑誌の特別回に読切を載せたいと言われた時だった。本編とかけ離れたテーマで読切を描いて欲しいという要望だったために、若い男は新たに自分で物語を作って描くことになった。普段のAI産の資料を元に描くのではなく、一から物語を考えて形にしていく作業は、久しぶりに漫画を描いている気分にさせてくれた。
「これでいかがでしょう」
自信満々に手渡した原稿を見た担当者の顔色が明らかに曇ったのを、若い男は見逃さなかった。
「うぅん、これは」
「何か、ありましたか?」
「何と言うんですかね。急に安っぽくなったような」
「どの辺りがですかね?」
「あぁ、つまらないとかそういうことを言いたいわけじゃないですよ。ただ、本編と比べるとどうしても見劣りしてしまって」
「描き直した方が良いと?」
「いやいやいや。締め切り近いですし、読切に力を入れて大本命の本編に支障が出たら困るのでこのまま行きましょう」
担当者は作り笑いを浮かべながら、原稿を脇に抱えて別れを告げた。
若い男は分かっていた。担当者は読切を面白いとは思えなかったが、大人気漫画家に物申す勇気が無かったのだと。
それからも色々なタイミングで、世間が求めているのはAIの出力した物語であって、若い男の考えた物語ではないのだと痛感させられた。匿名掲示板にも「本編は面白いのに読切は素人以下のゴミ」とまで書かれる始末だった。
そして次第に、周りの人間の計らいによって本編以外の漫画を描くことから遠ざけられてしまった。大人気漫画家という肩書きとAIの出力した物語がどんどん世界に広がる一方で、若い男の心の居場所は次々と失われていった。
若い男はいつの頃からか、自分の漫画にボツと散々言ってのけた初老の男に会いたいと思うようになっていた。しかし、男は初老の男が何処に行ったのか知らない。
初老の男は、天才漫画家の才能開花の時期を独断で遅らせたのだと編集長と社長の怒りを買い、連載開始直後にクビされたのだ。
「誰か、僕の漫画を読んでください」
若い男は、広々とした部屋の綺麗なベッドの上で、柔軟剤の匂いに囲まれながら泣いた。
それから三ヶ月。
若い男は様々な人の力を借りて、初老の男の所在地を知ることが出来た。
雪が舞うのを病室の窓から見ていた初老の男は、扉がノックされたことに気が付いた。看護師であればノックの後に名乗るのだが、ノックをした人間はいつまでも名乗らなかった。
「どちら様ですか」
「私です」
「その声は、まさかな」
「入り給え」と初老の男は言った。「失礼します」と言いながら若い男は病室に入った。
「久しぶりだね。話はあちこちで見聞きするよ。大出世じゃないか」
「御身体は大丈夫なんですか?」
「ん? あぁ、ちょっと無理したら今までのツケが回ってきただけさ。大きな問題は無いよ。それよりも何で私の所に来たんだ? 君のような忙しい人間が来る所ではないだろうに」
「実は、その」
若い男は鞄からは封筒を取り出して初老の男に手渡した。
「これは、漫画の原稿?」
「はい、読んでください」
初老の男は、若い男の目を見て、何かを察したのか何も言わずに読み進めた。
「ククク、ハハハハ」
初老の男は最後まで読むと笑い出した。若い男が描いたのはギャグ漫画ではない。だから、何故初老の男が笑っているのか分からなかった。
「何故笑うのですか?ギャグシーンは無かったと思うのですが」
「いやぁ、君の漫画を、君だけの漫画を久々に読んだが、元編集者として言わせてもらえばこれはボツとしか言いようがない。甘く見積もって三十点だな。だが、私はもう編集者ではないから正直に言おう。これで良い。これが良い。私はこの漫画が好きだ。君の漫画への愛は確かに此処にある。君の連載している方の漫画も読んでいるが、あの漫画からは君の愛を、君の魂を感じたことは一度もない。良かった。私の好きな漫画家は、まだ死んじゃいなかった」
初老の男から涙が溢れた。それを見た若い男の目からも涙が溢れた。
「実は、あの漫画は」
若い男は泣きながら全てを白状した。初老の男は、若い男が全て話し終わるまで口を挟まなかった。
「そうか。そういうことだったのか」
初老の男は、若い男に近くに来るように手招きをした。若い男が近付くと、初老の男は肩を優しく掴んだ。
「この話は、死ぬまで秘密にしなさい。私と君と、二人だけの秘密だ」
「でも」
「いいか? 絶対に誰にも言うな。編集長にもだ。君の漫画を楽しみにしている人が世界中にどれだけいると思っている。君は、AIが出力した世界に一つしか無い最高の物語を、自分が漫画にすると決めたんだ。だったら最後まで描きなさい。その物語が君の物語じゃないとしてもだ。君は世界中に夢と希望を与える業を自ら背負ったんだ。だから、最後までやり遂げなさい」
初老の男は優しい笑顔でそう言うと、思い出したかのようにこう付け加えた。
「君が、君だけの漫画を誰かに読んで欲しくなった時は、その時は私の所に持ってきてくれないか? 力になれるか分からないが、君が、君の物語で連載が取れるように、私に助言させて欲しい」
若い男は涙を流しながら感謝を述べた。
それから十年が経過した。
三ヶ月前に大人気漫画を完結させた男は、新連載用の原稿を持ってオフィスへと向かった。
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