アルゴリズムの恋人

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 僕が次にサラの姿を見たのはそれから五日経った後だった。薄暗い部屋の中にスマホの光だけで浮かび上がる青白いサラの顔には覇気がなく、心なしかやつれているように見える。サラは僕の姿を見てぎこちない笑みを作った。 「なんだかすごい久しぶりみたいに感じるね」 「そうだね。サラは……あまり元気そうには見えないかな」 「どうだろ。でも、あんまり学校には行けてないかも」 「そっか」  しばらくの間僕たちの間に沈黙が漂う。それはお互いが出方を窺っているようなむずかゆい沈黙だった。 「ねえ、サラ。実はさ……」 「明日さ、もう一度ヒナタと話してみるね。そしたらきっとさ、ユウの事認めてくれるよ。ヒナタは本当は優しい子だって、私知ってるもん」 「……そうだね」 「また三人できっと仲良くできるよ。そしたらどこにいこう? 行きたいところたくさんあるんだよね。夏になったらスイカ割りもしたいし海にも行きたいし、冬になったらスノーボードもやってみたいな」  サラは僕に向かって淡々と語り続ける。でもそれは自分自身に言い聞かせているだけかもしれなかった。 「ねえ、サラ。聞いてほしいんだ」 「聞きたくない」サラははっきりと否定の言葉を口にした。「ユウの言いそうなことくらい分かる。それが私の為だってことも分かってる。でももう少しだけ待ってほしいの。そうすれば、私も整理できそうだから」  僕は空中にうまい言葉を探し求める。しかし都合の良い言葉は思い浮かばず、行き場のない想いが体内で離散していく。 「今日はおしまいにするね。また明日、会いに行くから」  その言葉を最後に僕の視界は暗くなった。
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