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最初は、タツ以外盗賊団メンバーがロボットばっかりなのにびっくりして。聞いたら、
〝まあ裏切らないからな。そこのリスクは減る。融通きかなくて排除排除って行き過ぎることもあるけどな〟
タツにはしきれないくらい、感謝してるから、恩返ししたいと思ってる。でも、タツ盗賊団は、タツの意向を受けて情報収集から実行計画作成や作業ロボへの指示や操作まで取り仕切るサブと。捜査の網をかいくぐるため、盗っても少しは良心を痛めずに済むような、まとまった悪いお金の動きを探るために警察内部に潜り込んだコハルと。計画に応じて用意する各工程の作業ロボでちゃんとうまくいってる。ぼくのやることなんて、留守番以外に――ぼく自身も、本格的に盗みに加わるのは尻込みしちゃうし。
〝もうちょっとまとまった金入ったら、とっとと引退して、投資でもしながら畑耕そうかと思ってんだけどな。まだだな〟
いつの間にか眠り込んで、明け方にサブに起こされた。あれ、数日かかるって言ってたのに。ベッドで目をこするぼくに、サブはバケツ形の顔の中央に一つ目みたいについたカメラを光らせて宣告する。
「撤収します。生きてここを出たいなら急いでください。証拠隠滅のため地下室の爆弾タイマーを三十分後にセットしました」
「え」
爆弾?慌ててシャツを羽織ってバイクの鍵や貴重品をポケットに押し込んで、広間にサブを追いかけた。大きなダイニングテーブルの位置がずらされ、地下室の蓋が開けられている。作業ロボが金庫からお宝を運び出してトランクに詰めていた。
「サブ。撤収って、なんで。タツは?」
「胸部を撃たれました。即死ではないものの助からないと判断し放置しました」
は?放置?
「どこだよ!」
頭に血が上って詰め寄った。
「今から行っても無駄です」
「無駄じゃない!」
「言い合っても無駄です。あなたに何ができるんです。そもそも、ボスが獲得額が大きいとはいえ高リスクの案件に挑んだせいです。私は反対しました。安全確率の高い方を勧めた。ミッションをコンプリートするために」
「だからって!」
「わかりました、すぐ解決できる問題です。私があなたをボスのところに送りましょう。今すぐ」
サブの太い腕が振り上げられ、形状が変わって振り下ろされる。三つの銃口がぴたりとぼくに狙いを定めていた。恐怖の前に呆気にとられてしまう。撃つのか。こんな簡単なんだ?十年一緒に暮らしてたのに。
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