203■年8月12日

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住んでいた者たちが散り散りになってしまったC村。 希美が生まれ育ったC村。 東海地方にあるその村は、過疎化が原因で希美が高校生の時に廃村となった。 廃村は役場による決定で、村の者たちは住み慣れた村であるのだし、歴史のある村でもあるのだからと随分反対していたが、道路・水道・ガス・電気をはじめとする住民サービスが行き届かなくなってしまい、諦めざるを得なかった。 廃村になった後、村民たちはそれぞれの生活や仕事のため、散り散りばらばらになった。 そうして十年以上が経ち、すでにC村がそこにあったことさえ、A町で話題にあがることはなくなった。 それでも希美は年に一度、誰もいない村を訪れる。 どうにかして廃村を免れる術はなかったのだろうか。 懐かしい気持ちを抱きながら希美はC村を訪ねた。 希美はC村で生家を覗き、村の中心にある神社跡を訪れる。 神社は大木を祀っており、裏には富士山へと続く深い森があった。 神社をうろつくと当時の記憶が蘇る。 高校になると子どもたちは村を出ていたから、中学生以下の子どもの数は五名くらいだった。 年が離れていたり、性格ががったりと特に仲が良いという訳でもなかったので、当時の希美は大人たちによく遊んでもらっていた。
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