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住んでいた者たちが散り散りになってしまったC村。
希美が生まれ育ったC村。
東海地方にあるその村は、過疎化が原因で希美が高校生の時に廃村となった。
廃村は役場による決定で、村の者たちは住み慣れた村であるのだし、歴史のある村でもあるのだからと随分反対していたが、道路・水道・ガス・電気をはじめとする住民サービスが行き届かなくなってしまい、諦めざるを得なかった。
廃村になった後、村民たちはそれぞれの生活や仕事のため、散り散りばらばらになった。
そうして十年以上が経ち、すでにC村がそこにあったことさえ、A町で話題にあがることはなくなった。
それでも希美は年に一度、誰もいない村を訪れる。
どうにかして廃村を免れる術はなかったのだろうか。
懐かしい気持ちを抱きながら希美はC村を訪ねた。
希美はC村で生家を覗き、村の中心にある神社跡を訪れる。
神社は大木を祀っており、裏には富士山へと続く深い森があった。
神社をうろつくと当時の記憶が蘇る。
高校になると子どもたちは村を出ていたから、中学生以下の子どもの数は五名くらいだった。
年が離れていたり、性格ががったりと特に仲が良いという訳でもなかったので、当時の希美は大人たちによく遊んでもらっていた。
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