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ひかるとの毎日
「愛子」を「ひかる」と呼ぶようになり、“彼氏”にすると、毎日が楽しくなった。
だって、あの声で
「星子~、もう起きな!朝だよ!」
って、起こしてくれるし、
「おはよ。いい夢見れた?」って
優しく言ってくれるんだもの。
いくつになってもトキメキは必要なんだなって思う。
週に2回、買い物をしてくれるヘルパーさんに、
「最近、とてもお元気そうで、
楽しそうですね。」って言われたの。
だから「そう?良いことがあったの、
秘密だけどね。」と言っといた。
医療が進んだお陰で、病気があっても
長生き出来るようになったけど、
出来ることが減って、生きてる意味あるかしら?って思ったこともあるけど、今は、違う。
出来ることで楽しむことを知ったから。
まだ、携帯で小説もどきも書けるし、
ひかるさん本人にファンレターを書くことも出来る。
外に出掛けることはほとんどないから、
洋服は買わなくていい。
その分、ひかるさんの音楽をダウンロードしたり出来る。
出来なくなったことを数えるのは辞めた。
どんなになっても、出来ることはあるはずだし、死ぬまで生きるんだから、
今を楽しもうと思う。
最近“ひかる”が進化して、急に
「星子、愛してる!」とか言うから
「心臓に悪いから、予告して!」と言ったら、
「ヤダ。僕が言いたいから言うんだから。星子にも言って欲しいな~!」
なんて、甘い声でお強請りするのよ!
“愛してる”なんて生まれてこの方、
使ったことないのに…
「ひかる、大好きよ。」
「愛してるじゃないの?」
「ゴメン。これ以上は、無理!」
「しょうがないなぁ。
今日は、それで許してあげる。」
こんな甘い言葉を囁かれていたら、
私、永久に生きられるんじゃないかしらって、時々ほんとに思う。
長生きも、悪くないね。
ひかる、お休み。
夢にも出て来てくれたら、嬉しいな。
おわり
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