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帰りのバスに揺られて、真里亜は私の肩で眠っていた。
私は肩を動かさないようにリュックからスマートフォンを取りだしてメッセージ画面を出した。相手は〈ぶちょ〉。
「……中学からだから、五年、吹奏楽部でクラリネット吹いてたんだね」
そうつぶやいたけれど、意外にも後悔は微塵もなかった。それより「スズ、スズ」と声をかけてくれるこの友だちを失う方が、ずっと私にはつらいことだと気づいた。
『お世話になっています。今日付けで私、後藤鈴子と宮前真里亜は吹奏楽部を退部します』
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