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良いこと、冴香ちゃん？
あたしは湯槽の中で冴香ちゃんの方に向き直り、正面から彼女の可愛い顔立ちとあたしのそれより大きい「それ」と正対する
そして冴香ちゃんの両肩に手を乗せる
あのバカネコの奴に出掛ける時に何て声掛けてやったか、忘れたワケじゃないわよね？
そう。
冴香ちゃん優花ちゃん美優ちゃんの３人が口を揃えて
「私達がいないんだから、無茶も悪さもしないでくださいね？」
そう言っていたのをあたしは横で聞いていたのだから！
その言葉の意味は…あの再会した時から朧気ながらではあるけれど、勘付いていたんだ
そこへあたしと浜辺でキスした晩のあの騒ぎだもん…普通に疑問が確信に変わるわよって…あたしだって単なるバカではないのだ
あ、誤解してるみたいだから念の為に言っておくけど、お饅頭とお団子はちゃんと買っていくのよ？あのバカネコがちゃんと冴香ちゃん達に謝ってくれてから、徐ろに出すのよ？あ、あとソレを止めなかったハルちゃんとシイちゃんも同罪だからね？
因みにハルちゃんシイちゃん組には地酒を買って帰る予定だ
そこまで説明してあげると、漸く冴香ちゃんの肩から力が抜け、頬に赤みが挿してきた
同時にあたしに足りない部分が「ポヨン」と湯槽の表面で揺れた…
確かにあたしは怒ってはいるけれど、一応元カノだし？あのバカの性格は熟知してるつもりだし？
…あたしだって鬼じゃないのだ
しかし…冴香ちゃんの安心しきったこの柔和な表情と言ったら…
あいつ…こんな良い子にどれだけ心配と迷惑と掛けてやがんだ！
冴香ちゃんだけじゃない、優花ちゃんも美優ちゃんもそうだし、今回はお留守番してくれてるハルちゃんとシイちゃんもそうだ
今にして思えば、ハルちゃんとシイちゃんはあのバカに歯止めをかけるためにわざと残ってくれたのかもしれない…
が、結果がこれならあの子達も同罪だ！
…待てよ…？ハルちゃんとシイちゃんはあのバカの弟子の中でも断トツに有能だって言ってたな…もしかしなくてもハナからグルだったか？
だとしたら、二人の晩酌は暫く禁止にするように冴香ちゃん達に言っておこう！
あ、頭使ったから喉渇いちゃった
あたしはジョッキに手を伸ばし、中身を一気に干した
…思ったほど入ってない…そう言えばさっき半分ほど一気したんだった…
と、あたしはみんなの飲み物の減り具合をコッソリ確認する
あたし→スポーツドリンクが空っぽ
冴香ちゃん→黒烏龍茶、ほぼ空っぽ
優花ちゃん→三本あったいちご牛乳が空っぽ
美優ちゃん→こちらも三本あったフルーツ牛乳が全部空っぽ
ここはお姉さんがお代わりを取りに行ってあげないとね！
確か脱衣場据え付けの冷蔵庫に、お風呂と風呂上がりに飲む為のお気に入りの飲み物を大量に持って来てもらった、はずだ
本当は「石の山」が良かったんだけど…冴香ちゃんに取り上げられるわ、ホテルに常備してないわで諦めました…
いや、もっと言うとネコと二人っきりだと…
ま、まあ、あたしの直筆サイン１枚で用意してもらえるのなら安いもんだ！
キスマークも付けようとしたが、それは冴香ちゃん達に止められてしまったけど…
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