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あ、秋さん…行っちゃった…手ぶらでどうやって牛乳瓶10本持って帰ってくるつもりなんだろ…
ふと気付くと四つの瞳があたしをジっと見つめている…
正確には責めるような…
も、もちろんわかってます、わかってますから!
南田優花、秋さんの手伝いに行ってきます…
秋さんに習ってバスタオル二枚巻きの上から旅館の浴衣を羽織り…洗面器を2つ持って脱衣場を出た
う…ちょっと胸のあたりからバスタオルがずり落ちそう…
秋さーん、優花ちゃんが手伝いにやってまいりましたー
いつも通り明るく声を掛けたあたしに、秋さんはエラく真剣な表情で
「さっき冴香ちゃん宛てに届いてたメールの内容を詳しく!」
近い…近いですよ…あ、でも秋さんって吐息も甘いんだ…こりゃ冴香さんもウカウカ出来ない…
へ?さっきのメール?
部屋で見たアレかな…
何だか国際指名手配犯が5人、日本に来たらしいって、アレですか〜?確か若い女の子ばっか犠牲になってて、普通じゃないとかって…税関も公安も何やってるんですかね〜?あ、でも2人は仕留めたって書いてありましたよ〜
「それよ、それ!」
秋さん心配し過ぎですよ〜?
は!若くて可愛い優花ちゃんと可愛いけど胸のない美優ちゃんがいるから心配してくださった?
く〜!冴香さんと違って秋さんって何て優しい人なんでしょう!
秋さん!
「な、何かな?」
あたしの熱量?に若干腰が引けたような秋さんが、微妙に引き攣った笑顔を向けてくださる
あたし、秋さんを全面的に応援しますから!
「は?」
いやー、常々思っていたんです、猫さんのお嫁さんには秋さんみたいなお淑やかな人が良いなって!冴香さんでも別に問題ないんですけど、ちょっと雑と言うか嫉妬深いと言いますかあたしに厳しすぎると言うか…それなら少々家事に難があるあたしでもぜんっぜん構わないんですが、やっぱり猫さんと並んだ時にあたしじゃ父娘に間違われちゃうけど、秋さんと猫さんなら理想的な夫婦にしか見えない…
「もしもーし、優花ちゃん?こっちに戻って来なさいよ?」
両頬を柔らかな手で挟まれ、正面を向くと秋さんのやや切れ長の目があたしを見上げていた
「応援してくれるのは嬉しいけど…色々と問題発言があったように思うの…それにここ、ホテルの廊下だし…ね?」
そうでしたそうでした!つい勢いで色々と口走ってしまったような気がするけど、当の冴香さんも美優ちゃんも居ないから大丈夫だろう!秋さんは口が固そうだし
で、何の話でしたっけ…あ、国際指名手配犯のことですよね?確か、普通の鉛の弾丸が全く効果がないとか、ワケのわからない言語で喋るとか、この暑いのにフード被ってるとか…って、秋さん顔色が悪いですけど…湯冷めしたんじゃありません?だったら早くお風呂に帰りましょうよぉ
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