女のプライドと戦い

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 「いい部屋ね、優花ちゃん、美優ちゃん?ロイヤルスイートなんですって?」 えっと、これはその、猫さんが…そう猫さんが知らないうちに部屋をグレードアップしてくれてたんですよ!あたし達も来てビックリしたんですから!ね、美優ちゃん? これは本当の話だ いや、ここまでの話にも嘘偽りは皆無なんだが 妹も激しく首肯して、あたしの言葉を裏付けてくれている 「いい部屋ね、優花ちゃん、美優ちゃん?」 今度はゆかりさんだ…そう言えば冴香さんが言ってた事がある…泰子さんよりゆかりさんの方が執念深いって… えっと、これはですね、シングルを4つとかツインを2つよりは経費の削減になると言う、猫さんの信望深慮がありまして… って、おい!妹よ、頷くばかりじゃなくてあたしをフォローしてよ! 「え?3人じゃないの?冴ちゃんと優花ちゃんと美優ちゃんの?」 ほ。どうにか話題を逸らすことに成功した、か? そ、そうなんですよ~!猫さんの同級生の女の人も一緒でして〜!今、冴香さんと一緒にお風呂に入っておられますぅ。ね、美優ちゃん? …ダメだ、ウチの妹分は意外とポンコツで、さっきから頷く事しかしてない! あーん、冴香さん、秋さん、早く上がって来てくださいよ〜?あたし一人じゃお二人に対抗するなんて土台無理ゲーですって! 「「いい部屋ね?優花ちゃん、美優ちゃん?あたし達は普通のツインなのにね~?」」 …ダメだ、逸らしきれてない…もう逸らせそうな話のネタがない… 「あー、良いお湯だった♫やっぱり一流どころは内風呂も源泉かけ流しってのは本当なのねー?ほら、優花ちゃんと美優ちゃんも入って来たら?冴香ちゃんももう出て来る、は、ず…」 栗色のロングヘアをタオルで巻いた、浴衣姿の秋さんがお風呂から出て来てくれたのは…これ以上なくベストタイミング! 「「「こちらは?」」」 お姉さん達3人が華麗にハモってあたし達に向き直る しゃーない、面倒だけど説明するか…ええい、冴香さんめ、肝心の時には居ないんだから! えーっと、こちらの素っぴんでもキレイなお姉さんが猫さんの同級生で… 「あー!ちょっと!ゆかりに泰子!何でいるのよ!あんた達は別室でしょうが!」 …前言撤回、冴香さんがタイミング良く髪を拭きながらお風呂から出て来た …妹よ、今から怪獣映画さながらの女の戦いに巻き込まれないウチにお風呂に逃げ込むぞ? あたしは思いを込めて、美優ちゃんの浴衣の袂をそっと引く 運良く?美優ちゃんも同じ意見だったようで、喧々諤々し始めた冴香さん対ゆかりさん泰子さん組を尻目に、ソロソロとあたしに付いて来た ただもうお一人も… ん?何で秋さんまで? 「だって、長くなりそうじゃない、あの女の戦い?ルームサービスの朝ご飯が届くまであたしもお風呂に入り直すわ」 …鋭いというか何と言うか…秋さんはニュータイプなのか? あの状態のあのお三方は1時間近く揉めるのは間違いないのだから お風呂に持ち込んだあたしのPCからの情報で、二泊三日の温泉旅行が、台風の影響で四泊五日になることが…いや、そうせざるを得ない事が確定した 追加での連泊費用は秋ちゃんに任せとけ!とあたし達より豊かなお胸を張って豪語されてたから、そっちの心配はないが… あとは…猫さん達がやりすぎて無いかの心配が必要だけど やっぱり流れているニュースは漁船の座礁と沈没くらいしかない ただ、我が家に影響が無さげなのは、朝日の中で確認出来たのでひと安心かな 早く帰って猫さんに甘えたいな…
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