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「だ・め・よ?」
隣から秋さんの白魚のような右の人差し指がお湯の中から現れ、私の唇を塞いできた!
こちらを見つめる視線も何か凄く色っぽい…
わ、わ、私は、ノンケで決してそちらの趣味はないし!描さん一筋だし!
…でも…凄くドキドキしてしまった!
描さん、ごめんね…と、思わず心の中で謝ってしまった
ところで一体全体何が「だ・め」なのか?
秋さんの色香と温泉の心地好さにボンヤリしている頭がフル稼働し始める
しかし…秋さんから漂ってくる何とも言えない甘い香りに私の思考が…
あ、夢魔とか淫魔って女悪魔が実在するなら、絶対にこの人みたいなタイプだ…秋さんトシも取ってないみたいだし…
あ、目を閉じた秋さんの顔が近付いてくる…キス…出来ちゃうくらい…
ごめん、描さん…私、秋さんに唇奪われちゃう…
私も応えるように目を閉じ…秋さんに抱き寄せられるままに
あ、微かに「石の山」の甘い香りもする…
「こらー冴香ちゃん!理性を取り戻せー♫」
その言葉とともに、私の両頬を秋さんの両手が挟んでいた
…私が優花ちゃんを起こす時にいつもやる「アレ」だ!
だ、だって秋さんが凄くセクシーで色っぽくて、キスしてくれそうだったから…!
「あら〜❤冴香ちゃんみたいなきれいな子に色っぽいなんて言われて、お姉さんとっても嬉しいわ~❤」
そう言って秋さんの両腕が艶めかしく私の身体に巻き付き、あっちこっち弄りだした!
あ、秋さん、そこはダメですって!女の子同士でも私、変な気分になっちゃいますぅ
貸し切り状態なのを良いことに、秋さんと二人でくんず解れず、バッシャンバッシャンと暴れていたが、ふと秋さんが真顔に
「でもダ・メ❤あたしのキスはネコとだけって決めてるしぃ、冴香ちゃんだってそうでしょ?…あ、間接キスなら問題ないのかな?」
…うーん、トモチさんやヒロさんの気持ちが何となくわかって来たような気がする…
と、
「しゅ・う・ちゃ・ん♫」
…は?
目の前の、私より年上なのにきれいで可愛らしくセクシーな女性が、言ってくれた言葉の意味を理解するのに時間が掛かってしまった
ええっと、要するに「さん」付けじゃなくて「ちゃん」付けで呼べってこと?
そう恐る恐る本人に確認してみる
「そーよ♫旅行の前に言っておいたでしょ?だってあのネコにもそう呼ばせてるんだし?冴香ちゃんもそう呼んでくれないとぉ♫」
傍目から見たら、大浴場で二人っきりになった、そのケのある美女が艶めかしく絡み合っているだけに見えるのだろう、が…
ひ、描さんは同級生で同い年なんですよね?私みたいな若輩者がそんな畏れ多い…
「だから、ダ・メ❤そんなの関係ねー♫冴香ちゃんが秋ちゃんって呼んでくれるまで、お姉さん離れないんだから❤ついでにキスしちゃうかもぉ?」
…マズい!この人あんまり強くないし、酔ってる上で、本気だ!マジだ!
さすがに私も身の危険を感じる!
しゅ、秋、ちゃん?
私の唇からどうにか、期待された通りの呼び名が出た
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