猪鹿蝶ならぬ猪猪蝶って役はない

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猪鹿蝶ならぬ猪猪蝶って役はない

「!優花ちゃん、パソコン点けて!情報!」 いつかの病院の夜や現住所に移住する直前と同じ、真剣に引き締まった顔の冴香さんから指示が飛んできた 少しだけ付き合いの長いあたしは、その冴香さんの表情から何やらただならぬ雰囲気を感じたので、黙ってPCを起動、慣れた動作であっちこっちのシステムに侵入していく ち、何処も彼処も情報統制掛けてやがる!国民に正確な情報を伝えるのは国としては当然だぞ! ええい、絨毯爆撃で片っ端からハッキングしまくってやる! 海上保安庁、海自に陸自に空自、内閣府、内調、警察庁に警視庁、公安部…国内の思い当たる公的機関、そして各テレビ局と全部覗いていくが、テレビでやっている以外の情報が全然ヒットしてこない… …何かおかしい…皆定型文打ったように、金太郎飴さながらな情報を流している これは…何処かが情報操作してる?あたしのハッカーの直感がそう伝えて来る どうもピンと来ていない様子なのが、秋さんと美優ちゃんでバニラアイスの蓋を開けながら画面を眺めている。…まあ、一般人だからね… 因みに秋さんは全部超バニラを買ってくれていた…騙された… 「漁船が爆発?何かトラブルでもあったんですかね?」 「乗組員も全員絶望って言ってるわねー?可哀想にねぇ」 「あれ?今映ったのって、カフェ美宙の屋根じゃありません?あの優花さんデザインの独特で個性的なハワイアンな屋根…」 「美優ちゃんにそう言われてみるとあの橋…あたしも何か見覚えがあるような通ったような…そんな気がするのよね〜?」 えっと、お二人さん?わかってます? あれがカフェ美宙だとしたら、あたし達の大切な猫さんがトラブルに巻き込まれてる可能性があるんだよ? って、ちょっと待て、美優さん?独特で個性的ってどういう意味なのか、とっくりと聞かせて貰おうじゃないの! が、秋さん奢りのアイスクリームを溶かすのも勿体ないハナシなので、あたしと冴香さんもバニラアイスに木のスプーンを挿し込み掛けて、ハタとある可能性に思い当る 「巻き込まれてる」? あの猫さんが?それにハルさんとシイさんも一緒なのに? いやいや、「誘い込んでる」の間違いでしょ 確かあのお二人は猫さんの教え子の中でも「特に」優秀過ぎるって… で、その「優秀」って、お料理でもお掃除でもなくて…あ、いや、ある意味「料理」と「清掃」ではあるか… 「秋ちゃん!描さんに電話お願いします!何となく電源入ってないような気がしますけど…、優花ちゃんと美優ちゃんは手分けしてハルちゃんとシイちゃんに!…あの子達も切ってる可能性あるけど…」 とある可能性に辿り着いたらしい冴香さんからあたし達3人に指示が飛んでくる で、猫さんへの連絡を秋さんに振ったのは…やっぱり元カノに気を遣ったから? 冴香さんにそんな気遣いが出来るとはちょっと信じられないけど… 兎に角、逆らうと後が長くなるので、あたしと美優ちゃんもスマホの電源を入れて、電話帳から目的の相手を探しに掛かった
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