0人が本棚に入れています
本棚に追加
学校帰りⅡ
彩芽と別れたクレープ屋さんから、私が住んでいる大学の敷地内の家までは、細い裏通りが近道。この道は少し入り組んでいて、普段は住人以外の人通りが殆ど無い。
その裏通りに、今日は人影が見える。
同じ年頃の女の子っぽいんだけど、脚を引き摺っていて、凄く痛そう。
どうしたんだろう…
私は急いで駆け寄り、そして、
「どうしたの?」
と、背後から声を掛けると、私の声に振り向いた彼女に安堵の表情が見て取れた。
その表情に、取るべき行動で直ぐに応えるべきなんだけど、私はその顔に嬉しさが先に立ってしまう。
「結花さん、結花さんだよね」
「・・・」
私には絶対の自信があるのだけど、その彼女から返って来るのは「???」の顔。
「結花さんじゃ…」
「あっ、はい、そうですけど」
「わたし、隣のクラスだった愛瑠。平井野愛瑠」
「んっ」
彼女は首を傾げ、訝しそうに私を見て来る。
彼女は、転校前の学校で隣のクラスだった佐藤結花さんで間違いはない。なのに、彼女は私のことが記憶に無さそう。
最初のコメントを投稿しよう!