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夏の香り
月が照らす浴衣の君は
いつもより少しだけ
大人びて見える
口づけ強請る潤んだ瞳
夜風が運ぶ甘い香り
心の箍に揺さぶりかける
くちびる激しく貪るたびに
線香花火が切なく弾け
君は身体を震わせる
浴衣の胸元 そっと忍ばせ
柔な綿あめ 激しくまさぐり
熟れしリンゴ飴 優しく転がす
溢れる吐息と打ち上げ花火
艶やかな協和音を奏で
少女のお面を脱ぎ捨てる君
裾捲り上げ 見つめる先の
頬染め 顔背ける姿に
急加速する正四尺玉
恥じらう手 優しく押しのけ
中の指 湧き水に浸して
金魚すくうと刹那に跳ねる
氷の蜜と口づけ交わして
向日葵の蕾に鼻先押し当てると
夏の香りがした
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