《scene.5》

2/5
33人が本棚に入れています
本棚に追加
/21ページ
  「倉田!おせーよ!心配すんだろーが!」  帰社すると、先輩社員の堀田さんにどやされた。社長は僕の姿を確認し心底安心したような顔をして、僕等のやりとりを見つめている。  すみませんと適当に言いながら、僕はデスクのPCを立ち上げた。  何処で道草してたのかと、堀田さんがしつこく聞いてくる。 「ハンナさんのアトリエに寄ってました。廃棄端材を引き取って貰ってて」 「おーおー、倉田よお。随分と彼女のとこだけ足しげく行ってるよなあ」 「そんなんじゃないですよ」  堀田さんが、僕を冷やかす。  普段感情を露わにしないタイプの僕だが、いつもハンナさんの事になるとムキになってしまうから、社長や堀田さんは僕の気持ちに気付き始めているだろう。
/21ページ

最初のコメントを投稿しよう!