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コテージ風の店舗は、入口に木造のテラス空間を抱えている。香りのしそうな木目のテラスは、自宅を兼ねた店舗の三辺をまるっと包むように広がっていた。
晩夏の空。
遠くの空には積乱雲。
お盆を過ぎても暑かった今年の夏は、この数日でその無邪気さに落ち着きを見せ始めていた。
(だんだん涼しくなるな)
シャツの襟元から、すうっと空気が入り込む。この時期らしい、心地の良い涼しさの風を感じた。
こんな昼下がり、きっと彼女なら、テラスのハンモックでゆらゆらと昼寝でもしているんじゃないかなと思った。
「ハンナさん、おまたせ」
営業車から降ろした木材の端材の束を抱えて、僕はテラスに上りながら声を掛ける。
でも、店舗の入口から少し離れた場所にあるハンモックは、誰も抱いていなかった。
「あれ、ハンナさーん?」
ぐるりとテラスを巡り店舗の中も覗いたが、店主の姿はどこにも無かった。
整然と、全ての壁に飾られた「花」を描いたアート作品は、今日も互いを見つめ微笑み合っている。
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