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じゅんくんとその友達に贈る、花をアートに描いたキーホルダーを完成させた。夜はもう深くなっていて、いつの間にか今日が昨日になっていた。
床にそのまま置かれていた二つの空グラスを片付けようとした時、端材の中に同じ曲線を持った丁度良い大きさの、小さな木材があるのに気付いた。
そうだ。あの人に絵を描こう。
今のこの気持ちを、枯れない花に描こう。
モチーフはアイリス。
心に思い浮かべるのは……
頬が緩む。
明日はサーフィンを見に、海まで下りよう。その時に渡せるように、そうね、今日作ったキーホルダーくらいの小さなアート作品がいいかな。
いつまでも枯れない心を、彼に持っていてもらえるように。
「痛っ!」
いけない。浮かれすぎ。
考え事しながら木材削ってたら、指に当たっちゃった。
あらら、血が出てきた。
血が真っ赤だー。絆創膏、絆創膏。
でも痛いのは仕方ないね。
血が出るのも、だって私は人間なんだもの。
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