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「テストは成功だ」
店の人が笑顔で言う。
成功? わたしは耳を疑った。
「成功じゃないでしょ。わがままなジコチューロボットじゃないの。テストは失敗よ。あんなロボットを貸し出したら、クレームがいっぱいくるわ」
「ハハハ、本当はわたしはレンタルロボット店の人じゃなくて、ロボット研究所の研究員なんだ」
「何それ。わたしをからかったってわけね」
男の人の顔をにらみつける。
「からかってないよ。ちゃんと説明する。これまでの友だちロボットは、人間がどんなにわがままを言っても逆らわずに従った。ロボットというのは人間の命令に従うように作られているからね。でも、友だちってそうじゃないだろう。自分のしたいことやしたくないこと、好きなことや嫌いなことなど、おたがいの気持ちを言い合って、もの事を決めていくもんだろう。だから、わたしは自分の気持ちが言えるロボットを開発したんだ」
「でも、レイナは自分のわがままばっかり言って、人の言うこと聞かなかったよ」
わたしは口をとがらせた。
「実は、レイナはロボットじゃないんだ。レイナは私の娘なんだ。わがままが言えるロボットが無かったので、レイナにロボットのふりをしてもらったんだよ」
男の人は、わたしを追いかけてきたレイナに向かって微笑んだ。
「それって、まさか……」
「そうだよ、ロボットは君なんだ。驚いただろうが、無理もない。自分は人間だと思うようにプログラムしてあるからね。君は自分の気持ちが言える新型友だちロボットなんだよ」
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